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日付:

 

2009/5/22

タイトル:
資本主義崩壊の首謀者たち
著者:

広瀬 隆

出版社:

集英社

書評:

 

  「コンスピラシー・セオリー」とは何とおぞましくロマンチックな呼び名であろう。もし、疑いようもない事実ならおぞましい限りだが。一流の国際ジャーナリストは、これをどう交わすかに技量の全てが懸かっている。しかし、広瀬氏は寧ろ全身で体当たりを食らわせ骨の髄までどっぷりと浸かる。西洋古来の王室や名門、貴族の系図を掘り起こすことで丹念に歴史を読み解いたのだ。その成果は「赤い楯」他、数多くの労作に明らかだ。彼の思考回路は人脈の科学となった。

 この世は善か悪か、どちらでもないのか。問題は荒野の試練に立たされたのがキリストだけではないということ。悪魔に魂を売って金塊を手にした者がいるのだ。今では資本主義の万有引力が人を地面に立たせていると誰もが信じて疑わない。金の切れ目が縁の切れ目、人はパンだけでは生きられない。

 「諸悪の根源は投機マネー」と喝破する著者は、ホワイトハウスを金融マフィアーの巣窟であると断言して憚らない。イルミナティによるヴァチカン乗っ取りを描いた野心作「天使と悪魔」が上映され、話題を浚ったばかりだが、今や、アメリカの国璽である鷲の紋章は獰猛で醜悪なハゲタカファンドのシンボルとなった。オー・マイ・ゴッド!!! 

 泥棒の王様・ロックフェラー、女王陛下の金庫番・ロスチャイルド。世界を二分する巨大財閥ファミリーを事細かに検証、新大統領オバマの名演説の壇上に至るまで、もはやどうしようもなく金権腐敗の生臭い空気に包まれていると言う。ニューヨーク・タイムスの風刺の効いた一齣漫画を随所に鏤め、情け容赦のない巨悪を暴きたて、我国の取るべき進路を指し示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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