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日付:

2006/10/06

タイトル:
この地球を支配する闇権力のパラダイム
著者:

中丸 薫

出版社:

徳間書店 

書評:

 

 地球が闇であれば、単位としての総計だから同じことで、これはマラルメを引き合いに出すまでもなく、宇宙は大層な暗闇であろう。ことは闇権力の摘発に終わらない、中丸女史は自説の展開に、とうとうエイリアンに登場願ったようだ。今を時めく「アクエリアン革命」が下敷きだが、MIB即ち「黒服の男たち」の暗躍に触れ、歴史上は考古学の盲点とされる事実誤認を正し、現レベルで幾つかの信頼に値する円盤同乗記も紹介。本書は何とも気宇壮大な宇宙生成論、比類のない警世の書、中丸陰謀史観に裏付けられた暴露本の集大成ともなった。

 俗見によく足元を確かめるとある。確かに地下100Mは未知の世界、特に考古学は数々のタブーで発掘作業も侭ならず、学問的追求が阻まれた分野である。宇宙時代の幕開けも新しい迷信を蔓延らせたに過ぎない。この憶測とカモフラージュで捏造された「人類正史」を根本から書き改めるには、科学も法律同様、断固とした文言に従わなければなるまい。企業公害以上に宇宙的な関心事である「精神の汚染」は、近年とみに危機感も高まり、青い地球は蒼褪めたオーラにすっぽり包まれてしまった。

 悪人同士は対立し、善人同士はひとつになる。平和が人類の最大公約数である以上、戦争を剰余分として切り捨てる必要がある。本書は、地球人類の起源に関しては、プレアデス星団からの飛来説を支持している。それによれば「ガーディアン」と呼ぶ高度に進化した宇宙霊の導きで、現在、末期的兆候を呈し始めた地球から、「新・ノアの一族」が選ばれ「ノヴァ・テラ」なる惑星に緊急避難中、地球の浄化・正常化が完了した時点で、再定住すると言う。その間、新世界の種族に相応しく自己研鑽に努め、各々がESP能力を開発しなければならない。

 理論武装した聖母マリアのような、愛の論客・中丸女史だが、一人ひとりが闇を照らす光であることを、本書の至る所で力説している。それにしてもオリオンが世直しの星とは知らなかった。事実はSF以上にSF的である。「闇のパラダイム」の目隠しを外さない限り、何時までたっても私たちは宇宙の迷子でしかないだろう。
 

 

 

 


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