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・おしゃべりな本棚


著:中村 卓
出版社:文芸社
タイトル:

サルの正義

著者:

呉智英

出版社:
株式会社双葉社
書評:

 


 サル社会80%が人間社会だとすると残り20%の差は何だろう。電波と本能のコミュニケーション・ツールの違いではなかろうか。一頃話題となった「ケータイを持った猿」を読んだ者なら、よもやたちの悪い冗談とは思うまい。迷えるヤング層の行動様式に高名なサル学者のメスが入るや、出るわ出るわ、その病巣からパラサイト・シングル、ひきこもり、渋谷族、等々、段階的なグループ別の症例が。これほど身につまされる臨床報告もないのだが、一度、この悲憤の書との照会を試みるなら、所詮は底の浅い露悪趣味の域を出ず、ごみ溜めを掻き回す「猿の正義」でしかないことに気づくだろう。一体猿の正義とは?おそらく猿の頭はこんな風になっていはしまいか。4>3だから4+3>3+4従って7は7ではない。眼の先判断で前後関係を忘れ大局を誤る。これ即ち朝三暮四、どんぶり勘定ならぬドングリ勘定である。「それはないでしょ、今でしょ。」は列子の故事による?つい最近、いつもの手順を誤って噛みつかれた餌付け係が猿山を後にした。遺憾ながら政権交代劇は世の中のしくみに何の進歩もないことの象徴である。

 例の倍返しの論法ではないが、ノックアウト勝ちでなければボクシングとは言わない、それがジャーナリストの世界である。いまや、暴論こそ正論、そして常套手段なのである。尤も、お役人の石頭に思わず拳を振り下ろそうものならとんだ災難というほかないが。ぶん殴り殺したのでなければ殴り殺したことにはならない。まあ、こういってよければの話だが、どちらにしても過激な性向の著者ではある。理想に炙り出された地獄絵のジャッジメントとして浅間山山荘事件を採りあげ、思想上の大転換があったことにも言及している。この件に関しては著者の名誉毀損にもなりかねないので慎重に扱わねばなるまい。あくまでも報道レベルに尾ひれのついた人情話のようなものだから当事者意識とは何のかかわりもない。ノンポリの文学青年なら<テスト氏の一夜>にあたるだろう。何はともあれ著者の結論に注釈は不要。「ユートピア願望にかまけるな」の一言に尽きる。それにしても独裁制か共産主義か、民主主義の大義名分はどうあるべきかの論争をめぐって、正義に取憑かれた人権思想の振子運動は止まらない。











 

 


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